PMS(生理前・月経前症候群)を緩和させる方法

PMS(生理前・月経前症候群)を緩和させる方法

PMS(生理前・月経前症候群)の症状をやわらげたり改善したりするためには、いろいろな方法があります。

「PMSの改善や生理痛の対策をしたいけれど…どうすればいいのだろう?」

PMSは女性特有の病気で、人によって症状が違いますので、PMSの症状が悪くなる前に早く行動を起こし、それぞれの状態に合った対策をおこなうことが改善への近道です。

このページでは、PMSになる原因や症状、自宅のケア、病院の治療法、PMSを改善させるポイントなど役立つ情報をまとめ、PMSや生理痛の対策についてご紹介しています。

毎月、生理が近くなると心や体の調子が悪くなる…そんなときは、あなたに一番ふさわしい方法をお選びください。

PMS(生理前・月経前症候群)とは?

PMS(生理前・月経前症候群)とは?

PMSとは、Pre menstrual Syndrome(プレ・メンストラル・シンドローム)を略した言葉であり、日本語では月経前症候群(生理前症候群)となります。以前は「月経前緊張症」といわれていました。1988年にイギリスでガイドラインが作られた、市販後調査という言葉もPMSと表記されますが意味が異なりますのでご注意ください。

今回ご紹介するPMS(生理前・月経前症候群)は、生理が近くなると心身の不調があらわれるという女性特有の病気です。普段はなんともないのに生理が近くなるとココロやカラダが不調になる・・など、PMSになるとさまざまな身体的・精神的症状があらわれます。生理の数日前から下腹部が痛くなる、乳房が張った感じがする、イライラする、憂うつになるなど、このような項目に当てはまる方はPMSかもしれません。

PMSは女性の75%が経験する疾患であり、20代から40代ではおよそ9割の女性がPMSを経験したことがあるという調査報告もされています。

PMSの身体的・精神的症状はさまざまであり、個人によって種類や重症度が異なります。また、PMSを発症する年齢や時期も個人差があります。PMSになっても症状が軽い方や重い方、PMSの期間が短い方や長い方など千差万別です。

PMSの症状は、よく思い悩んだり、真面目だったり、我慢しやすかったりするような性格の人がなりやすいといわれています。PMSはストレスとも関係がありますので、気持ちを内側にため込みやすい人ほど心に負担がかかってPMSになりやすい傾向があるのかもしれません。一方で、PMSは月経周期によるホルモン分泌の変動が原因の一つとして考えられていますので、PMSは心身が弱い方が発症する病気ではなく、女性の約7割が経験する一般的な疾患であることを心にとめておきましょう。

PMSは月経に関連する女性の病気であり、一般的には生理の3日から10日くらい前から発症して、生理のあと数時間以内にPMSの症状が減退または消失するという特徴があります。しかし、PMSには個人差があり、月経の前日にPMSを発症する方や月経がきても数日間はPMSの症状が続く方もいます。

PMSになると怒りっぽくなったり、乳房が張ったり、手足がむくんだりとさまざまな身体的・精神的症状があらわれ、女性の75%が経験する疾患ですのに、PMSは認知度が高い病気とはいえず、女性でもPMSについて知らない方は少なくありません。

PMSの理解を深めることはPMSである本人だけでなく、家族や恋人、友人など身近にいる人との関係に役立ちます。また、PMSの治療や改善にとって、周囲の人々のPMS知識養成と共有、理解、サポートは心強い味方となります。PMSは多くの女性が経験する病気ですので、一人で悩まずに医師や信頼できる人に相談しましょう

PMDD(月経前不快気分障害)とは?

PMDDとは、Premenstrual Dysphoric Disorderを略した言葉であり、日本語では月経前不快気分障害となります。

PMSの症状が重症化するとPMDD(月経前不快気分障害)となり、PMDDはPMSよりもイライラや憂うつ、情緒不安定といった精神的症状が重くなっている状態であり、女性のおよそ3%から5%がPMDDを経験しています。

PMDDになると強い精神的症状があらわれるようになり、激しい不安感や抗うつ感、怒りなどの症状が見られる場合もあります。PMDDはPMSと同様に、月経が始まると減退または消失します。

生理と生理痛について

生理と生理痛について

生理とは月経と同じ意味であり、脳や体が成長して妊娠の準備ができた女性にあらわれる生理的な現象です。一般的に生理は10歳から15歳くらいから始まり50歳頃まで継続しますが、生理が始まる年齢や終わる年齢には個人差があります。

成長した女性の体は子どもが作れるように1カ月くらいのペースで準備をしますが、その月に妊娠がなかったときは体内で不要になったものを経血として体外に排出します。経血には子宮で作られた内膜など妊娠がなかった月に不要となったものが含まれていますので、普通の血とは異なります。

一般的に生理は毎月あらわれる自然現象ですが、生理周期には個人差があります。生理周期とは生理が終わってから次の生理が始まる前日までの日数のことであり、人によって25日から38日くらいと生理周期に違いがありますそのため、毎月同じような日に生理がくる女性もいれば、生理の日が少しずつ変わって毎月異なる日に生理になる女性もいます。

生理の時期はお腹が痛くなったり、お腹がずっしりしたり、胸が張ったりすることがありますが、生理でないときでも月経によってさまざまな症状があらわれる場合があります。例えば、排卵期ではお腹が少し張ったり、おりものの量が増加したりすることがありますが、生理の1週間前くらいではイラ立ったり、眠気に襲われたり、食欲が増加したりすることがあります。また、生理が間近になると胸が張ったり、おりものの量が増えたりすることがあります。

生理になると経血対策として生理用品が必需品となりますが、経血の量は生理の経過日や個人の体質によって異なります。一般的に生理は4日間から7日間くらい続きますが、心身の状態によって早く終わったり、遅く終わったりすることがあります。また、経血の量は生理2日目が最も多く、生理3日目以降から徐々に減少していくというパターンがありますので、経血の量が増えそうな日は激しい運動を控えたり、ふさわしい生理用品を準備したりして対策しましょう。

生理用の解熱鎮痛薬

また、生理痛がひどい時には生理痛をサポートする一般用医薬品としてバファリンやEVEなどの解熱鎮痛薬がありますが、かぜ薬と同様に調剤薬局やドラッグストアで気軽に購入できますので、あらかじめ準備しておくことも大切です。


PMS(生理前・月経前症候群)が起こる時期

生理周期の生理期、卵胞期、排卵期、黄体期

生理周期には「生理期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の順で4つの時期があり、PMSが起こる時期は黄体期といわれています。生理周期によって女性ホルモンが変動しますと、女性の心身は女性ホルモンの影響を受けて変化します。

生理期では、生理前までにたくさん分泌されていた卵巣ホルモン・エストロゲン黄体ホルモン・プロゲステロンが減少し、子宮で作られた内膜がはがれて経血となり排せつされます。

卵胞期では、生理5日目から7日目あたりから脳の指令によって卵巣の中で卵胞が準備されます。卵胞は卵子の元であり、卵胞が作られるとともに卵胞ホルモン・エストロゲンが増加します。

排卵期では、卵胞が十分に成長すると脳の指令によって卵巣から卵子が排卵されます。そして、卵巣から卵子が排卵されるときに卵巣ホルモン・エストロゲンの分泌量が少し減ります。

黄体期では、排卵後の卵巣に残留した黄体によって黄体ホルモン・プロゲステロンが分泌されます。黄体ホルモン・プロゲステロンが分泌されますと、10日間から12日間くらいまで基礎体温が高い状態が続きます

黄体期では黄体ホルモン・プロゲステロンが分泌されます。黄体ホルモンには基礎体温を上昇させるだけでなく、イライラしやすくなったり、体内に水分を蓄えやすくなったりする作用があると考えられています。そのため、黄体ホルモンの影響によってPMSではない人でも、生理が近くなると心身に軽い不調や違和感を抱くことがあります。

PMSは生理の3日から10日くらい前の黄体期に起こり、生理が始まるとPMSの症状は数時間内で減退または消失します。しかし、PMSがあらわれるタイミングには個人差がありますので、黄体期になるとすぐにPMSになる方や生理の前日だけPMSになる方などさまざまなケースがあります。

PMSが起こる時期になると黄体ホルモンなどの影響でココロやカラダの状態が変化します。また、PMSではない方でも黄体ホルモンの作用によって心身に軽い影響を感じることがあります。PMSや生理前の不調を対策するためには、女性の体が卵巣ホルモンや黄体ホルモンの影響を受けて変化することを知り、多くの女性が経験することだと意識してココロを落ち着かせることが大切です。

また、生理周期や基礎体温など、日々の体の状態などを日記のように記録してPMSの起きる時期を把握し、PMSの症状があらわれそうなときは心身に負担をかけない生活をおくることもポイントです。PMSのつらい症状も、PMSが起こる時期を予測することで適切な対策がおこなえます。

PMS(生理前・月経前症候群)の症状

PMS(生理前・月経前症候群)の症状

PMSの症状は個人によって異なりますが、一般的には身体的症状精神的症状に分けられます。また、PMSの影響による社会的・行動的症状もあります。

身体的症状には頭痛や下腹痛、乳房痛などがあり、精神的症状にはイライラや怒りっぽさ、情緒不安定などが挙げられます。社会的・行動的症状には仕事や家事への影響、人間関係の問題、行動の変化、考え方の変化などがあります。

PMSの身体的症状や精神的症状、社会的・行動的症状はPMSが起こる時期といわれている黄体期から見られるようになり、生理がくると数時間後にPMSの症状が減退または消失するという特徴があります。PMSの症状や重さ、開始、終了などは個人の体質や年齢、環境などによってさまざまです。

例えば、10代の青年期ではPMSが終わったあとでも生理痛や月経困難症が続いてしまうケースが少なくありません。また、ストレスが多かったり、閉経が近かったりするとPMSの症状が重くなることもあります

このほかにも、PMSの症状と合わせて別の病気による症状が深刻化する場合があります。例えば、片頭痛、うつ病などの気分障害、鼻づまりなどの呼吸器障害、関節リウマチなどの結合組織疾患の再燃、けいれん性疾患のけいれん発作回数の増加などが挙げられます。

また、気分障害はPMSやPMDDではない女性でも生理前になると悪化することがあります。特に、PMDD(月経前不快気分障害)はPMSよりも重症の状態であり、仕事や人間関係などに影響を及ぼしたり、日常生活への興味が薄れるケースもあります。このようなPMDDの症状は、PMSと同様に生理が始まると減退または消失します。

また、PMSによる身体的症状や精神的症状を体験した方は、PMSにストレスを抱く場合もあります。PMSの影響によって他人や物に八つ当たりをしたり、不機嫌な行動をとったりするなど、仕事や生活を続けていく上でマイナスな関連があると感じている女性も少なくありません。

PMSの症状は身体面や精神面など多岐に亘りますので、心身の不調や違和感がPMSによるものだと気づくためには、日頃から自分のカラダとココロの状態をチェックしておくことが大切です。

生理前になるとイライラして怒りっぽくなる、下腹部や乳房が痛くなる、神経が過敏になって情緒不安定になる・・このような症状が毎月続くときは、PMSの可能性があります。

PMSの疑いがあるときは月経周期や基礎体温、症状、日々の出来事などを日記のように記録してPMSの傾向があるか判断できるようにしましょう。あいまいな感覚よりも記録から目で確認できる方がPMSの判断を正しくおこなえますし、PMSで病院を受診するときの診断にも役立ちます。

生理前に心身の不調を感じたときは、ここでご紹介しているようなPMSの症状に当てはまるかを確認したあとで、PMSの可能性が考えられる場合は自分の状態や生理周期などを3カ月以上記録するようにしましょう。

PMS(生理前・月経前症候群)の身体的症状について

PMS(生理前・月経前症候群)の身体的症状について

PMSの身体的症状は200または300あるともいわれており、個人によって症状や深刻度が異なります。PMSの一般的な身体的症状には、お腹や胸が痛くなる、むくみがでる、体重が増えるなどの症状が挙げられます。

また、PMSの身体的症状下腹部症状乳房症状皮膚症状消化器症状血管神経症状水分代謝症状などに大きく分けることができ、このほかにも疲労や不眠、動機、おりものの量が変わるといった細かい症状があります。

PMSの下腹部症状にはお腹や腰の痛み、下腹部の張りなどがあり、PMSの乳房症状には乳房の痛みや張りなどがあります。

また、PMSの皮膚症状には肌荒れやニキビ・シミ・アザが目立つなどがあり、PMSの消化器症状には胃の痛みや吐き気、食欲増進、便秘、下痢などがあります。

PMSの血管神経症状では頭痛や耳鳴り、めまい、肩こりなどがあり、PMSの水分代謝症状ではむくみや排尿の減少、体重の増加などがあります。

このほかにもPMSの症状には疲労を感じやすくなったり、心臓がドキドキしたり、寝つきが悪くなったり、おりものの量が普段と違ったりするといったものがあります。

このようにPMSの身体的症状には個人差があり、体質や環境によってあらわれ方や深刻度が変わります。そのため、PMSにかかっている知人と同じ症状ではないからといって、自分はPMSではないのだろう・・と早まった判断をしないようにご注意ください。

PMSについてはいろいろな研究や調査がされていますが、いまだにPMSのはっきりとした原因はわかっていません。PMSの原因にはストレスや女性ホルモンの影響、ビタミンB6の欠乏などさまざまな意見や考え方、文献などがありますが、明確な答えは確立されていません。

しかし、月経の前にPMSが始まり、月経のすぐあとにPMSが減退または消失することから、PMSの多様な身体的症状は月経周期における女性の心身が影響していることは疑いありません。

PMSの身体的症状は月経の3日から10日前の黄体期に始まりますので、PMSで身体に不調や違和感があらわれそうな時期は、なるべく負担のかからないスケジュールを組みましょう。PMSの間はストレスを避けたり、体を休めたりして心身を安静にすることが大切です。

PMSが起きる時期は月経周期から予測できますので、下腹痛や乳房痛、乳房の張りなどPMSの身体的症状があらわれそうなときは、心身を落ち着かせて無理のない生活をおくるように心がけましょう。

PMSの時期を把握しておくとPMSの対処をしやすいだけでなく、頭痛や腰痛といった身体的症状があらわれたときにPMSが原因だと認識することで気持ちを軽くすることができます。PMSが起きそうな時期は事前に予定をキャンセルしたり、変更したりするなど早めに行動して、PMSの身体的負担を少しでも減らすことが大切です。

PMS(生理前・月経前症候群)の身体に現れる症状

PMSの身体的症状には下記のようなものがあります。

:頭痛、片頭痛、頭重、微熱、記憶力の低下、集中力の低下。

:胸が張る、乳房が張る、乳房が痛くなる、乳房痛を覚える、乳房緊満感になる、動悸(どうき)を覚える。

手足:手足がはれぼったくなる、手足が冷える、手足がしびれる、手足がぴりぴりと痛む、手足がむくむ。

食事:食欲が変わる、食べ物の好みが変わる、特定の食べ物が欲しくなる、食欲増加、食欲増進、食欲が増す、過食、食欲減退、食欲不振。

睡眠:眠気、過眠、不眠、寝つきがよくない、夜中に覚醒する。

気分:疲労感、倦怠(けんたい)感、無気力、脱力感、疲れやすくなる。

お腹と胃:腹痛、腹部膨満感、お腹が張る、下腹痛、下腹部痛、下腹部膨満感、下腹部が張る、下腹部を圧迫するような痛み、胃痛、胃腸症状、便秘、下痢。

皮膚:肌荒れ、ニキビ、吹き出物、ニキビ・シミ・アザが際立つ、皮膚をかきやすくなる、限局性の皮膚炎。

その他:むくみ、疼痛、体重増加、肥満、めまい、回転性のめまい、失神、耳鳴り、腰痛、肩こり、関節痛、筋肉痛、背中の痛み、嘔吐(おうと)、吐き気、ホットフラッシュ、ほてり、のぼせ、喉が渇く、おりものが増す、おりものの量が変わる、重い感じがする、圧迫感、アザが増えやすくなる、尿の量が減少する、甘い食べ物ばかり過食する。

PMS(生理前・月経前症候群)の精神的症状について

PMS(生理前・月経前症候群)の精神的症状について

PMSの精神的症状イライラ憂うつ情緒不安定などさまざまあり、生理の3日から10日くらい前からあらわれます。このようなPMSの精神的症状は、身体的症状と同様に月経が始まると数時間の内に減退または消失するという特徴があります。

PMSの精神的症状は月経に関連してあらわれますが、PMSではない女性でも生理が近くなるとうつ状態といった気分障害のような症状がひどくなることがあります。特に、PMSの精神的症状が重くなった状態であるPMDD(月経前不快気分障害)の場合は、日常生活への興味が薄れるケースもありますので注意が必要です。

月経前になると自分の死を考える、薬をたくさん飲んでしまう・・というようなPMSによる精神的症状が重い段階になったときは、産科や産婦人科よりも精神科や心療内科の受診をおすすめします。精神科や心療内科では適切な投薬やカウンセリングによって、PMSの重い精神的症状を緩和するための治療が受けられます

また、PMSの精神的症状が重症の方は強いストレスを感じていたり、体の問題を抱えていたりすることが少なくありませんので、イライラや憂うつなどPMSの精神的症状をやわらげるためには心身のストレスや悩みを減らしていく必要があります。

例えば、軽い運動や好きな趣味を活用してストレスを発散したり、健康管理に気をつけて体調を整えたりするなどしてPMSの精神的症状が悪化しないように対策しましょう。また、ストレスや悩みの原因がPMS以外の病気にある場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。

憂うつや情緒不安定といったPMSの精神的症状は、うつ病などの気分障害と似ていることからPMSを見分けるときには注意しなければなりません。

PMSは10代の思春期から発症する例もありますが、PMSを発症するピークは30代といわれています。しかし、30代はうつ病を発症するケースも多くなりますので、気分の落ち込みやイライラといった症状の原因がPMSによるものか判断するときは慎重に見極める必要があります。

PMSを判断するときの一つの目安として、さまざまな精神的症状がいつから始まり、いつ終わるのかという点が挙げられます。

PMSは生理前の黄体期にあらわれて生理後の数時間以内に減退または消失しますので、不安や憂うつなどの精神的症状が生理になるとなくなる場合はPMSの可能性が考えられます。

PMSの有無を知りたいときは月経周期基礎体温症状日々の出来事などを日記のように記録することがおすすめです。怒りっぽくなる、気持ちがふさぐなどの精神的症状がいつ頃あらわれるのか把握することでPMSの判断材料になります。

また、PMSの精神的症状があわれる時期を自覚できますと、気持ちのあり方や行動などを工夫して対処することができます。

PMS(生理前・月経前症候群)の精神に現れる症状

PMSの精神的症状には下記のようなものがあります。

怒り:イライラ状態になる、易怒性・イライラがある、イライラ感が続く、怒りを感じやすくなる、攻撃的な状態になる、他人や物に当たりやすくなる、短気になる、興奮状態になる、機嫌が悪くなる。

不安:不安が増す、不安になる、情緒不安定になる。

悲しみ:悲しくなる、涙もろくなりやすい、泣きやすい、原因もなく急に泣き出したくなる。

気分低下:憂うつ、憂鬱(ゆううつ)を感じる、憂鬱を覚える、憂鬱な状態になる、気持ちがしぼむ、気分が晴れない。

神経過敏:神経が過敏になる、神経質な状態になる、いつもは気にとめない細かいことが気になる。

能力低下:気力がなくなる、意欲が下がる、集中力が下がる、集中力がうせる、集中できなくなる、仕事や学業の効率が下がる、普段のペースで仕事がやれなくなる、物忘れしやすくなる、記憶の障害。

マイナス思考:自分を詰まらない人間だと考える、弱気な状態になる。

その他:気分が高まる、心が乱れた状態になる、抑うつ状態になる、感情的になりやすい、気分が移り変わる、引きこもりやすくなる、落ち着きがなくなる、睡眠の障害。

PMS(生理前・月経前症候群)の社会や行動に表れる症状

PMSには身体的・精神的症状の影響からなる、社会的・行動的症状があります。ここでは社会活動や日常生活におけるPMSの社会的・行動的症状をご紹介します。

社会:仕事や家事ができない、勉強ができない、周囲の人と口げんかする、人づきあいが低下する、身内や子ども・友達へのきつい言葉、社会的な孤立、物忘れしやすい、集中できない、判断力が下がる。

行動:整理整頓の欲求が高まる、食欲の増加、食べ物への執着心が増える、アルコール飲料の摂取量が増える、家から出たくなくなる、引きこもる、行動を控える、性欲が変わる、健康管理できない、睡眠が変わる。

考え方:自分の性別・女性ということが嫌いになる、生理が嫌いになる、理解してくれる人はいないと思う、一人でいたいと考える、物事がわずらわしくなる、やる気が低下する。

PMS(生理前・月経前症候群)の原因

PMSの原因はまだはっきりと明らかになっていませんが、PMSが発症する要因には女性ホルモンの変動脳内の神経伝達物質ホルモンの異常などと考えられます。

女性ホルモンである卵巣ホルモン・エストロゲンや黄体ホルモン・プロゲステロンは月経周期にあわせて分泌量が増減しますので、女性ホルモンの急激な変動がPMSの原因につながるという説があります。
黄体ホルモンにはイライラや気分の低下、体内に水分を蓄えるなどの作用がありますので、黄体期に黄体ホルモンがたくさん分泌されることがPMSを引き起こす原因の一つとして考えられています。

このほかにも、心身のストレスは女性ホルモンの分泌を不安定にさせたり、自律神経に影響を及ぼしたりしますので精神的な要因がPMSの原因になるという考え方もあります。

また、女性ホルモンの変動やストレスにより、感情と深い関わりのあるセロトニンなどの脳内神経伝達物質やホルモンが乱れることでPMSを引き起こすという考え方や、女性ホルモンの素となる、たんぱく質の代謝にビタミンB6が必要となることからビタミンB6の欠乏がPMSの原因とする説などもあります。

このようにPMSの原因には諸説ありますが、PMSが黄体期に起こることから、卵胞ホルモンや黄体ホルモンといった女性ホルモンの変動がPMSに関係していることは疑いないといえます。

また、思春期の前や閉経のあと、月の生理がないときの女性ではPMSが起こらないことから、PMSの原因は月経の排卵性周期に関連していると考えられます。

月経周期には生理期、卵胞期、排卵期、黄体期という4つの時期があり、それぞれの時期では女性ホルモンの分泌が変化します。卵胞期には卵胞ホルモンの分泌が増え、排卵期になると卵胞ホルモンの分泌量が一時下がります。
そして、黄体期になると黄体ホルモンの分泌が増え、生理期になると黄体ホルモンが減少する女性ホルモンの急激な変動は、女性のカラダやココロに影響をあたえるといわれています。

PMSの原因がいまだにはっきりと明らかにされていない理由は、月経周期における女性の体が女性ホルモンの変動やストレスなど、いろいろな影響を受けているからかもしれません。

女性ホルモンによる影響

PMSは生理周期の黄体期に起こります。女性の生理周期には「生理期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」があり、一般的には25日から38日くらいかけて繰り返されます

女性の体はホルモンの影響を受けますので、生理周期ごとに変動する卵胞ホルモン・エストロゲンや黄体ホルモン・プロゲステロンによって、心身にさまざまな症状があらわれる場合があります。

生理周期

生理期では、それまでにたくさん分泌されていた卵胞ホルモンや黄体ホルモンが減少して、子宮内膜など不要になったものを月経として体外に排出します。PMSは生理期になると減退または消失します

卵胞期では、卵巣で卵子を作る準備が始まるとともに卵胞ホルモン・エストロゲンが増加します。卵胞ホルモンによって心身が落ち着いた状態になり、肌の調子もよくなります。卵胞期では黄体ホルモンがあまりない状態ですので、卵胞ホルモンの影響が優位になります。

排卵期では、卵巣からの排卵が1日から2日くらいかけておこなわれます。そして、排卵と同時に今まで増加していた卵胞ホルモンの分泌が少しの間だけ減ります。

黄体期では、排卵後の卵巣から黄体ホルモン・プロゲステロンの分泌が始まります。PMSはこの黄体期に起こります。黄体期では黄体ホルモンが増加して、基礎体温が高くなる状態が10日間から12日間ほど続きます

黄体ホルモンには基礎体温の上昇以外にも体内に水分を蓄えやすくなったり、腸の活動を鈍化させたり、イライラしたり、気分が低下したりするという作用があります。そのため、PMSになっていなくても生理前になると心身に軽い不調や違和感を抱くという女性は少なくありません。

また、ストレスを受けてホルモンバランスが乱れると黄体ホルモンが過剰に分泌してPMSの症状が悪化してしまう場合があります。ストレスは脳内のホルモンや神経伝達物質にも影響をあたえることから、女性ホルモンの変動とともにPMSを引き起こす原因の一つになります。

黄体ホルモンは妊娠するために大切な女性ホルモンですが、バランスが乱れやすい特徴もあります。黄体ホルモンは受精のために子宮内膜を維持したり、心の安定に影響をあたえたりする重要なホルモンであり、排卵後に黄体ホルモンの分泌が増加するとPMSの身体的・精神的な症状があらわれる一因とされています。

黄体期が終わり、生理期に入るとPMSの症状は減退または消失します。生理期ではそれまで増加していた卵胞ホルモンや黄体ホルモンが急激に減少して、卵胞期への準備が始まります。そして次の黄体期までPMSのない平穏な時期が訪れます。

PMSが黄体期に起こることから、生理周期における卵胞ホルモン・エストロゲンや黄体ホルモン・プロゲステロンなど、女性ホルモンの変動がPMSの原因に関わっていると推測されています。女性ホルモンの変動は女性にとって一般的な生理現象ですので、PMSの原因には心身の強さや弱さは別であることを心にとめておきましょう。

PMS(生理前・月経前症候群)は年齢と共に変化する

PMS(生理前・月経前症候群)は年齢と共に変化する

PMSは10代から起こるケースもありますが、PMSは「30代の疾患」または「30歳代中期症候群」といわれており、PMSの発症年齢は30代がピークであるとされています。PMSの発症率は年齢とともに増加するという説がありますが、逆に年齢とともに減少するという説もあります。

このようにPMSの発症と年齢の関わりについてはさまざまな意見や考え方があり、一つに定まっていません。しかし、PMSの発症が30代をピークとしていることからPMSの発症は年齢とともに変化します。

PMSの発症年齢は10歳以上20歳までの思春期、20歳から40歳前半までの性成熟期、40歳半ばから50歳半ばまでの更年期、50歳半ば以降の老年期までと幅広く、閉経を迎えるまでPMSになる可能性があります。

PMSは女性ホルモンの変動に影響を受けていると考えられていますが、女性ホルモンの分泌量は年齢によって変化し、10代から徐々に増え始めて30歳をピークにゆるやかに減少します。そして、女性ホルモンが多く分泌される20歳から40歳くらいまでの性成熟期にPMSが最も発症しています

PMSは排卵周期と深い関わりがあるため、思春期の前や閉経のあと、無排卵周期、卵巣がないといった状態ではPMSが起こりません。そのため、加齢になって生理がなくなるとPMSが発症する可能性もなくなります。

また、PMSは年齢によって症状が変わっていきます。20代では下腹部痛や乳房痛など身体的症状が強くあらわれる傾向があり、30代では身体的症状に加えてイライラや不安になるなど精神的症状が目立ってきます。また、30代はPMSのピークとされていますが、30代からはうつ病の発症も増えてきます。

PMSは女性のライフステージによって変化します。10代の頃からPMSになる女性もいますが、多くは心身が熟した20歳から40歳の間にPMSが発症しやすい傾向にあります。また、加齢にともなって閉経を迎えるとPMSの発症はなくなりますが、PMSの女性で閉経が近くなると身体的・精神的症状が重くなるケースもあります。

PMSの発症時期や症状の傾向などをご自身の年齢と照らしあわせてみますと、自分のココロとカラダの変化がPMSを理解しやすくなるでしょう。

産後にPMSや生理痛が良くなる理由、ひどくなる理由

産後にPMSや生理痛が良くなる理由、ひどくなる理由

PMSや生理痛のつらさが産後に変化するという方がいます。産後にPMSや生理痛の症状が軽くなった方もいれば、反対にPMSや生理痛の症状が重くなった方もいます。

PMSはPMDD(月経前不快気分障害)と同様に、月経周期による女性ホルモンの変動が深く関わっていると考えられています。女性ホルモンの一つ、卵胞ホルモン・エストロゲンが欠乏すると脳内の神経伝達物質・セロトニンが低下して、憂うつや不安などの精神的症状があらわれ、心理トラブルが悪化しやすくなってしまうのです。

また、女性ホルモンや脳内のホルモン、神経伝達物質はストレスの影響を受けるとバランスが崩れたり、異常をきたしたりすることが知られています。

このため、産後でPMSや生理痛の症状が重くなった方は、出産や子育て、社会復帰などの理由から心身の負担や変化によってストレスを感じている可能性が考えられます。ストレスによって女性ホルモンのバランスが乱れるとイライラや不安といった精神的症状や、下腹部痛や腰痛といった身体的症状があらわれる一因になります。

このほかにも、ストレスによってセロトニンが低下すると脳内の神経伝達物質が不安定になってうつや、パニック障害といった精神的症状をまねく可能性があります。出産後のうつ症状としてマタニティブルーが有名ですが、マタニティブルーは出産のあと女性ホルモンが急激に減少することが原因だといわれています。

このようにPMSや生理痛が産後に変化するといわれる理由には、女性ホルモンの変動やストレスの悪化などが考えられます。そのため、産後はホルモンバランスを崩したり、ストレスをため込んだりしないような生活を心がけることが大切です。

赤ちゃんの夜泣きや授乳によって睡眠不足になってしまう場合もありますが、睡眠不足はホルモンバランスを崩してしまう原因につながりますので、赤ちゃんの様子を見ながらできるだけ睡眠量を確保するように心がけましょう。

産後におけるPMSと生理痛の変化には女性ホルモンとストレスが共通点として挙げられますが、生理痛はこのほかにもさまざまな原因が考えられます。産後の生理痛が変化する理由としては、プロスタグランジンの多量分泌、子宮の出口の変化、体が冷えて血行が悪いなどが挙げられます。

プロスタグランジンはホルモンの一種であり、子宮の収縮や血管拡張、痛み、炎症などの作用があります。生理になると不要になったものを経血として体外へ排出するために、プロスタグランジンが分泌されます。しかし、プロスタグランジンが多く分泌されると子宮の収縮作用が活発になって下腹部痛や腰痛といった症状の原因になります。

また、思春期や出産経験のない女性は子宮の出口が小さいことが生理痛の理由として考えられます。子宮の出口が小さいと経血をスムーズに排出することができなくなって生理痛となります。このため、出産後に子宮の出口が広くなると生理痛が緩和されることがあります。

このほかにも、体が冷えて血行が悪くなっている状態が生理痛の原因としてあります。血行が悪くなると痛みに関わるホルモン・プロスタグランジンが骨盤内で停滞してしまい、生理痛を引き起こす原因となります。生理中は普段より血行が悪くなりやすいですので、子宮や腰を冷やさないようにしっかりと温めましょう。

PMSや生理痛は産後の状態によって変化します。女性ホルモンのバランスを崩さないようにしたり、育児や仕事でストレスをためないように工夫したりして産後の体を大切にしましょう。

PMSになった時に和らげる対処法と対策

PMSになった時に和らげる対処法と対策

PMSは生活を改善したり、病院で適切な治療をおこなったりすることでPMSの症状をやわらげることが可能です。自宅のセルフケアでPMSが軽くなる場合もあれば、病院の治療や生活指導によってPMSが緩和されることもあります。また、セルフケアと病院の治療を組み合わせてPMSに対処する方法もありますので自分に適したやり方で対策しましょう。

自宅でできるPMSのセルフケアには、生活習慣を改善または工夫する方法が挙げられます。例えば、ストレスをためないようにしたり、リラックスするようにしたり、栄養バランスのよい食事をとるように心がけたりすることが大切です。また、生理中は体が疲れやすくなったり、冷えやすくなったり、貧血になりやすくなったりしますので、生理中における体調へのケアもPMSを和らげる重要なポイントとなります。

適度な運動やアロマ、ハーブティーなどを利用してストレスをためないように工夫したり、1日3食しっかり食べてエネルギーを補給したり、お風呂で体の疲れを癒やしたり、寒い季節は暖かい服装で体を冷やさないようにしたり、ほうれん草や果物を食べて鉄分をとるようにしたりすることで自宅でもPMSのセルフケアが可能になります。

一方、病院ではPMSの診断と投薬、カウンセリングなどによってPMSを改善または治療する方法が試みられます。PMSは主に産婦人科で診察を受けられますが、PMSの身体的症状がなく、イライラや憂うつなど精神的症状が重い場合は精神科や心療内科での治療とカウンセリングが必要になります。

病院でPMSを治療するときは、経口避妊薬・ピルや抗うつ剤、利尿薬、鎮痛剤、サプリメント、漢方薬などが用いられます。PMSの治療は保険が適用されますが、一部漢方専門外来では自費診療となる場合もあります。

病院では、経口避妊薬を使用して排卵を抑えたり、抗うつ剤で精神的症状をやわらげたり、利尿薬で体のむくみに対処したり、鎮痛剤で下腹部や腰の痛みをおさえたり、サプリメントを利用してPMSの症状緩和をうながしたり、漢方薬でPMSによるさまざまな症状に対処したりすることができます。

産婦人科などPMSに詳しい先生に診察してもらえれば安心できますし、自宅のセルフケアだけではPMSの症状に変化がみられなかった場合など、病院の治療は希望となります。

まずは自分の生活や食事を見直してPMSをケアする習慣を身につけましょう。そして、PMSの症状が変わらなかったときは産婦人科で診察してもらうことをおすすめします。セルフケア病院、この2つを上手に利用してPMSの対策をしましょう

PMSを和らげるサプリメント

PMSを和らげるサプリメント

病院ではPMSの治療法としてサプリメントを使用する場合があります。また、PMSのときに使用できる市販のサプリを自宅のセルフケアにプラスすることも可能です。

セルフケアのサプリには、ビタミンやミネラルなどがおすすめです。具体的には、ビタミンB6やビタミンD、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、たんぱく質、亜鉛、大豆イソフラボンなどが挙げられます。

PMSで特に効果があるとされているのが、ビタミンB6です。ビタミンB6はビタミンB群の一つであり、体内ではほぼ合成することができないため、食べ物から摂取する必要があります。ビタミンB6の1日摂取推奨量は14歳から18歳の女子で1.2mg、19歳から50歳の女性で1.3mg、51歳以上の女性で1.5mg、妊娠中の女性は1.9mg、授乳中の女性は2.0mgとされています。食事だけではビタミンB6を十分に補給できないときはサプリの利用が便利です。

たんぱく質やビタミンB6以外にも、ビタミンDやビタミンE、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの栄養をバランスよく摂取することが大切です。これらのビタミンやミネラルは基本的に食事からとらなければなりませんが、忙しい生活の中では栄養管理や食材用意、調理といった手間によって栄養が不足してしまう場合もあります。

女性の体内が活発になると、たんぱく質やビタミンB6などさまざまな栄養が使われて不足しやすくい状態になりますので、普段の食事だけではビタミンやミネラルが十分にとれないときは、食事内容を見直し、足りない栄養を補給するためにサプリを利用してみてはいかがでしょうか?

オススメの食材

PMSにオススメの食材

PMSの症状が出ているときは、ビタミンやミネラルなどがバランスよくとれる食事が大切です。不足しがちな栄養はサプリでも補給できますが、基本的には毎日の食事から必要な栄養をしっかり摂取するように心がけましょう。

食習慣を改善して健康を維持するサポートをしたいときは、ビタミンB6やビタミンD、ビタミンE、カルシウム、たんぱく質、食物繊維などが含まれている食材がおすすめです。

ビタミンB6が含まれている食材には、肉類や魚類、豆類、柑橘類以外の果物、デンプン質の野菜、卵などがあります。例えば、イワシやカツオ、鶏肉、レバー、内臓肉、ニンニク、ジャガイモなどが挙げられます。

ビタミンDが含まれている食材には、魚類や内臓肉、乳製品、卵、キノコ類などがあります。例えば、サバやサケ、マグロ、牛のレバー、チーズ、卵黄、各種キノコなどが挙げられます。

ビタミンEが含まれている食材には、植物油やナッツ類、種子類、緑色野菜などがあります。例えば、ベニバナ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、大豆油、トウモロコシ油、アーモンド、ピーナツ、ヘーゼルナッツ、ヒマワリの種、ブロッコリー、ほうれん草などが挙げられます。

カルシウムが含まれている食材には、魚類や乳製品、野菜などがあります。例えば、イワシの缶詰やサーモンの缶詰、牛乳、チーズ、ヨーグルト、白菜、ブロッコリー、ケールなどが挙げられます。

たんぱく質が含まれている食材には、肉類や魚類、大豆製品、乳製品、卵などがあります。例えば、鶏肉、豚肉、牛肉、ハム、貝類、魚全般、魚の練り物、豆腐、納豆、大豆、牛乳、チーズ、ヨーグルト、鶏卵、うずらの卵などが挙げられます。

食物繊維が含まれている食材には、穀類、野菜、果物、キノコ類、大豆製品、ナッツ類などが挙げられます。例えば、玄米やサツマイモ、干しプルーン、納豆、ゆであずき、胡麻、アーモンド、各種キノコ、こんにゃくなどが挙げられます。

病院で行うPMSの治療法

病院で行うPMSの治療法

生活や食事を見直してもPMSの症状が変わらないときは、病院で診察を受けることをおすすめします。病院では適切にPMSの診断が受けられますし、自宅のセルフケアでは変化のなかった症状を改善または治療する効果が期待できます。PMSを治療する目的であれば経口避妊薬・ピルも保険が適用されますし、漢方も一部漢方専門外来以外は保険が適用されます。

病院では、経口避妊薬・ピルや抗うつ剤、漢方、サプリメントなどを使用して治療や対症療法をおこないます。対症療法とは、病気の症状をやわらげるために適切な薬や生活指導、カウンセリングなどをおこなって対処する治療法です。例えば、重いうつ状態のときは抗うつ剤を使用したり、ひどい頭痛や下腹部痛のときは鎮痛剤を使用したり、むくみが大きいときは利尿薬を使用したりして一つ一つの症状にあわせて対処します。

対症療法は病気を完全に治すという治療法ではありませんが、PMSのつらい症状を緩和させたり、PMSの時期を遅らせたり、PMSになりにくい環境を作ったりする効果が期待できます。また、病院ではPMSをやわらげるための生活習慣についても指導を受けることができますので、ストレスや食生活の乱れ、運動不足、睡眠不足などを解消する方法を医師から教えてもらえれば、自宅でのセルフケアがさらに効率よくおこなえます。

病院では適切な診察とともに、その人に合ったPMSの治療法を提案してくれます。処方薬やサプリについてもメリットや副作用をふまえた上で必要な種類、量を選んでくれますので安心してPMSの治療に励むことができます。また、PMSの症状が変化したときは、その都度、症状にふさわしい治療法を病院で受けられますし、一時的に生理周期を変更したいときも適切な経口避妊薬などで対応してもらえます。

このほかにも、病院であればPMSによる下腹部痛や関節痛などの身体的症状があるときは鎮痛剤などで痛みを緩和し、イライラや情緒不安定などの精神的症状があるときは抗うつ剤などで心の安定をサポートすることが可能です。万が一、PMSが重症化してPMDD(月経前不快気分障害)になってしまった場合でも、病院を利用していれば早急に対応してもらえるので安心です。

PMSは女性特有の病気なので診察を受けるときは産婦人科を利用する方が多いと思いますが、PMSの精神的症状が重かったり、生理前になると重度のマイナス思考になったりするような場合は、精神科の受診をおすすめします。

自宅のセルフケアでPMSが変わらないときや早めに治療を受けたいときは、病院を利用しましょう。

PMSを和らげる低用量ピル

PMSを和らげる低用量ピル

病院では、PMSの治療法として低用量ピルを使用する場合があります。ピルは経口避妊薬であり、ピルを服用することで排卵を抑制し、女性ホルモンの変動を一定に保ちます。PMSは卵胞ホルモン・エストロゲンや黄体ホルモン・プロゲステロンといった、女性ホルモンの変動と深い関わりがあると考えられていますので、低用量ピルで排卵を抑制することでPMSの症状をやわらげる効果が期待できます。

ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンを主成分にして作られた経口避妊薬であり、体の外から女性ホルモンを摂取することでホルモンバランスに影響をあたえ、体を妊娠しているときのような状態に近づけることができます。低用量ピルは、卵胞ホルモンの量が50μg未満で含まれているピルを指します。

ピルを服用すると排卵抑制作用によってPMSをやわらげる効果が期待できるだけでなく、高い確率で避妊することが可能になります。また、ピルには生理痛や生理不順、貧血、経血過量、にきび、肌荒れ、多毛症などを軽減させたり、卵巣ガンや子宮体ガン、乳房良性疾患、子宮筋腫などを予防したり、子宮内膜症を抑制したりする効果が期待できます。

ピルを飲み始めた頃は、ホルモンバランスに影響があらわれることから頭痛や吐き気、倦怠(けんたい)感、不正出血といった状態になる場合があります。しかし、このようなマイナートラブルは通常1、2カ月ほどで治まりますのでご安心ください。

ピルは用法、用量を正しく使えば安全な避妊薬ですが、ピルの服用が禁忌とされる人もいます。例えば、妊娠の可能性がある方や妊娠中の方、授乳中の方、最近手術を受けた方、今後手術予定がある方、高血圧や血栓症、心筋梗塞の疑いや経験がある方、高脂血症や糖尿病、肝機能障害の方、心血管系や脳血管に異常がある方、乳ガンや子宮筋腫、子宮頸ガン、子宮体ガン、血栓性静脈炎、肝塞栓(そくせん)を患っているまたは疑いのある方などが挙げられます。また、たばこを1日に15本以上吸っている35歳以上の方もピルの禁忌に該当します。

ピルを飲むときは1日1錠を毎日同じ時間に服用しますが、ピルには毎日飲み続けるタイプと最後の1週間は服用を休むタイプがあります。休薬期間のないピルと休薬期間のあるピルでは効果に差はありませんので、利用者の好みによってピルを選択することも可能です。

低用量ピルは卵胞ホルモンや黄体ホルモンなどが配合されているホルモン剤ですので、ピルの服用をやめたあとは生理周期が通常に戻り、妊娠にも影響をあたえませんので不妊の心配はありません

このような経口避妊薬・低用量ピルなどは、PMSをやわらげるための治療法として病院で利用されています。

PMSを和らげる漢方

PMSを和らげる漢方

PMSをやわらげる対症療法の一つとして、漢方を使用する場合があります。西洋医学ではPMSの治療として経口避妊薬や抗うつ剤などが使われますが、妊娠したいときには不向きだったり、吐き気がひどくて服用できなかったりすることがあります。

漢方はPMSによるホルモンバランスや神経作用の乱れ、血行不良、水分貯留といったそれぞれの症状に対処できますし、西洋医学の副作用をカバーするために併用して使うこともできます。PMSの漢方治療は保険が適用されますが、一部の漢方専門外来では保険が適用されないこともあります。また、漢方は種類や量によって費用が変わります。

漢方は古代中国の伝統医学をもとに日本で発展した医療体系の一つです。漢方に使用する漢方薬は、植物や動物、鉱物などの生薬を2種類以上配合して作られています。生薬には胡麻や生姜といったなじみ深い食材以外にも、植物の種子や果実、葉、根、樹皮などさまざまな種類があります。

PMSの漢方治療は、個人の体質や症状にあわせておこなわれます。例えば、手足のむくみといった水分貯留の症状には、体に水分をためないようにうながす漢方薬が使われますし、体の冷えによる痛みには血行不良をやわらげるための漢方薬が選ばれます。

PMSの漢方には、当帰芍薬散や加味逍遙散、桂枝茯苓丸、抑肝散、温経湯などが挙げられます。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は、体力虚弱や冷え症、貧血の傾向があり、まれに頭痛や下腹部痛、動悸、めまい、耳鳴り、肩こりがある場合の生理痛や生理不順、月経異常、更年期障害、むくみ、足腰の冷え症、出産前後の貧血や疲労、倦怠感などに使用されます。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)は、体力中等度以下でのぼせ感があり、イライラや精神不安、肩こり、疲れやすい、まれに便秘の傾向がある場合の生理不順や月経困難、冷え症、虚弱体質、更年期障害、不眠症、血の道症などに使用されます。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は、ほどほど体力があり、まれに下腹部痛や頭重、めまい、肩こり、のぼせ、足冷えなどがある場合の生理痛や生理不順、更年期障害、皮膚炎、湿疹、打ち身、しもやけ、シミなどに使用されます。

抑肝散(ヨクカンサン)は、体力中等度を目安として、イライラしやすい、怒りっぽい、神経のたかりぶりなどがある場合の神経症や不眠症、子どもの夜泣き、子どもの癇癪、更年期障害、歯ぎしり、血の道症などに使用されます。

温経湯(ウンケイトウ)は、体力中等度以下で、唇の乾き、手足のほてりなどがある場合の生理不順や月経困難、更年期障害、神経症、不眠症、皮膚炎、湿疹、しもやけ、足腰の冷えなどに使用されます。

加味逍遙散や抑肝散の使用傾向に挙げられている血の道症とは、女性ホルモンの変動によってあらわれる身体的・精神的症状を指します。女性ホルモンの変動は、生理や妊娠、お産、お産後、更年期障害などに関連して起こります。

ホルモンバランスや神経作用の乱れ、血行不良、むくみといったPMSの症状をやわらげる方法の一つとして漢方は有用であると考えられており、さまざまな症状に対応した漢方治療が望めます。

PMSを和らげる薬

PMSを和らげる薬

病院でPMSの治療をおこなうときは低用量ピルや漢方のほかにも、抗うつ剤や抗不安剤、利尿薬、鎮痛剤などが対症療法として用いられる場合があります。

対症療法は痛みやむくみ、不眠、便秘などそれぞれの症状を緩和するためにおこなわれる治療法であり、心身の不調を整える効果が期待できます。例えば、手足のむくみには余分な水分を体外に排出させるためにスピロノラクトンなどの利尿薬が用いられる場合があります。

また、頭痛や腹部けいれんの痛み、関節痛には、鎮痛・解熱・抗炎症・抗血小板などの作用を持つ非ステロイド性抗炎症薬などが用いられる場合があります。一方、PMSの治療としてエストロゲンとプロゲスチンが配合された混合型経口避妊薬を使用する場合もありますが、体質によっては混合型経口避妊薬があわない方も少数いますのでご注意ください。

このほかにも、PMSによる精神的症状が重いときやPMDDでは、パロキセチンやセルトラリン、フルオキセチンといった抗うつ剤が用いられる場合があります。抗うつ剤はうつ病を治療するために使用される薬であり、イライラや抗うつなどの精神的症状があらわれる前に服用することで効果が期待できます。そのため、PMSの精神的症状があらわれたあとで抗うつ剤を服用しても期待していた効果が得られないことがあります。

PMSが悪化するとPMDD(月経前不快気分障害)となり、身体的症状よりも精神的症状が主にあらわれるようになります。PMDDはPMSの2%から9%における重症化した状態であり、ひどい抗うつや不安感、易怒性などの精神的症状によって日常生活に支障をきたすことがあります。そのため、PMDDの治療にはアメリカ精神医学会による診断基準があり、選択的セロトニン再取り込み阻害薬・SSRIを用いるなどの方向が定められています。

病院でPMSの治療を受けるときは主に、低用量ピル、漢方薬、鎮痛剤、抗うつ剤、抗不安剤などが用いられますが、これらの薬剤はそれぞれ使用方法や目的、効果などが異なります。体質によっては副作用があらわれる可能性もありますので、医師の管理下で正しく使用しましょう。

PMSを改善し治すには

PMSを改善し治すには

PMSを改善または治療するためには生活の見直しが重要なポイントになります。生活改善には栄養バランスのよい食事やストレスをためない行動、心身のリラックスなどが大切です。

例えば、食事はビタミンB6やカルシウムといった必要な栄養をきちんと摂取するように心がけながら、栄養バランスのよい食事に改めましょう。そして、カフェインのように興奮作用や覚醒作用で神経のたかぶりや不眠を悪化させる可能性がある食品は控えましょう。

また、ストレスを解消して女性ホルモンのバランスや脳内のホルモン・神経伝達物質などを乱さないように心がけましょう。ストレス解消には適度な運動やストレッチ、好きな趣味などが役立ちます。

このほかにも、PMSのときに心身をリラックスさせる方法として入浴やアロマセラピー、ハーブティーなどがあります。ぬるいお風呂にゆっくり浸かったり、リラックスできる好みの香りを楽しんだりすることで心身を落ち着かせる効果が期待できます。

生理周期や基礎体温、心身の状態、日々にあった出来事などを日記のように毎日記録するとPMSの診断に役立つだけでなく、生理周期における自分の調子を把握したり予測したりすることができますので、PMSの心構えや対処が迅速におこなえます。

例えば、自分の状態を定期的に記録するとPMSになりそうな日が予測できますので、PMSの時期は無理な予定を入れないなどの対策をすることができます。また、PMSの時期を知ることでイライラや憂うつ、下腹部の痛みといった症状に対して心に余裕を持った行動をとるように心がけることができます。

食事やストレス解消、リラックス、症状日記といったセルフケアをおこなうだけでPMSが軽減する方もいらっしゃいます。一方で、自宅のセルフケアだけではPMSが改善されない場合もあります。PMSが改善されなかったり、PMSの症状が悪化したりしたときは病院で受診しましょう。

産婦人科など女性の病気に詳しい専門医がいる病院で診てもらえれば、PMSの診断や適切な治療法、生活指導などが受けられます。特に、生理前になると生活に影響が出てしまうようなときは、できるだけ早めに病院へ行きましょう。イライラや不安、下腹部痛、腰痛などの症状がそれほど深刻でない場合でも、生理前になると身体的または精神的な症状があらわれてつらいと感じるときは、無理をしないで病院を受診することをおすすめします。

PMSを改善・治療するためには、適切な生活習慣とストレスをためない行動が大切です。自宅でセルフケアをしたり、病院を利用したりするなどしてPMSの対策をしましょう。

ストレスをためない

ストレスをためない

PMSの改善や治療にとってストレス解消は重要なポイントです。ストレスがたまってしまうとホルモンバランスが乱れてPMSを悪化させる可能性がありますので、ストレス対策は必ずおこないましょう。

おすすめのストレス解消法には、軽い運動や優しい音楽、入浴剤、ハーブティー、アロマセラピーなどが挙げられます。ウオーキングのような軽い運動は気分転換や心身のリラックス、睡眠リズムの調節などに役立ちますし、優しい音楽はスローな曲調で緊張や不安をやわらげたいときにピッタリです。また、自宅のお風呂に入るときは好きな入浴剤を使うと気分が上がって楽しいバスタイムを過ごすことができます。

このほかにも、PMSにピッタリのハーブティーを利用しますと、心を落ち着けたり、心身の不調を整えたりしたいときに役立ちます。PMSにおすすめのハーブにはチェストツリーやローズヒップ、ローズマリー、カモミール、ハイビスカス、スカルキャップ、レモンバーム、オレンジ、タンポポなどが挙げられます。

また、アロマセラピーではアロマの香りをかぐことでストレス解消やリラックス効果などさまざまな用途に役立ちます。PMSにおすすめのアロマオイルには、ラベンダーやゼラニウム、クラリセージ、イランイラン、ローズ、サイプレスなどが挙げられます。

自分にふさわしいストレス解消法をおこなって、PMSの対策をしましょう。

食生活の改善

食生活の改善

PMSを改善・治療したいときは食生活を見直すことも大切です。食生活をよくするとPMSの30%は改善されるといわれていますので、他の対策方法とともにPMSにピッタリの食生活をおこないましょう。

PMSにはビタミンB6やビタミンE、カルシウム、マグネシウムといったビタミンやミネラルが豊富に含まれている、栄養バランスのよい食事がおすすめです。PMSの改善に必要な栄養が不足してしまうとイライラや情緒不安定などPMSの状態を悪化させてしまう可能性がありますので、足りていない栄養を意識してとるような献立にしましょう。食事だけでは必要な栄養を補えないときは、サプリを利用することもおすすめです。

また、PMSは血糖値の変動と深い関わりがあるといわれていますので、血糖値が乱高下しにくい食材を選ぶこともポイントとなります。主食は白米やパンではなく玄米や雑穀米にして、緑黄色野菜や小魚、ナッツ類などを意識してとるようにしましょう。野菜や果物、キノコ、海藻、コンニャクなど食物繊維が豊富に含まれていて血糖値の上昇がゆるやかな食材もおすすめです。

このほかにも朝食を抜かないようにしたり、食事の回数を増やしたりしてイライラや眠気といった症状を悪化させないようにしましょう。

運動やストレッチ

運動やストレッチ

軽い運動やストレッチはストレスを解消したり、血流の循環をうながしたりするメリットがあります。ストレスはPMSの精神的症状を悪化させる要因となり、血行不良は痛みや冷えといった身体的症状を助長させる可能性があります。

軽い運動には憂うつな気分を解消させたり、心身を落ち着かせたり、睡眠リズムを整えたりする働きもありますのでPMSのセルフケアにピッタリです。

軽い運動をしたいときは有酸素性運動がおすすめです。有酸素性運動は有酸素運動と呼ばれることもあり、糖質や脂質をエネルギー源として脂肪を燃焼させる運動です。有酸素性運動にはウオーキングや軽いジョギング、サイクリング、ハイキング、水泳、ダンス、エアロビクス、エアロバイクなどが挙げられます。また、もっと気楽にできる運動として散歩や体操、ストレッチもおすすめです。

運動は1日20分くらいを目安として、無理のない範囲で継続しましょう。好きな音楽を聴きながら運動をしますと、楽しい気分で続けることができます。

避けたほうがいいもの

避けたほうがいいもの

PMSの時期には避けたほうがよい食べ物や飲み物があります。例えば、カフェインやアルコール、塩分の多い食べ物、炭水化物、甘いものなどが挙げられます。

カフェインには神経の興奮や眠気覚ましの働きがあるのでイライラや不眠といった症状を悪化させてしまう可能性があります。また、カフェインやアルコールをとりすぎると不安や緊張、胸の張りなどを助長させる場合があります。

カフェインが含まれている飲食物にはコーヒーやココア、コーラ、エナジードリンク、緑茶、紅茶、チョコレートなどが挙げられます。カフェインが多く含まれている飲み物や食べ物は、生理の1週間前から控えるようにしましょう。

PMSの時期は塩分や炭水化物、甘いもののとりすぎにも注意してください。塩分をとりすぎると体内に水分がたまりやすくなってむくみの原因となります。また、空腹のときにGI値の高い炭水化物や甘いものを食べると血糖値が急激に上昇して、イライラや倦怠感などを悪化させる可能性があります。

PMSになりそうな時期は、玄米や野菜など血糖値の上昇がゆるやかな食品を選ぶようにして、カフェインやアルコール、チョコレートといった嗜好品はなるべくとらないようにしましょう。

時期をきちんと把握

時期をきちんと把握

PMSの適切な治療や対策をおこなうためには、PMSの時期を把握することが大切です。PMSが起きそうな時期を知ることで心に余裕を持って生活ができたり、心身に負担の少ない予定に変更したりすることができますし、必要なPMSの対策もわかります。

PMSの時期を把握したいときは月経周期基礎体温症状その日の出来事などを日記のように毎日記録しましょう。心身の不調がいつ頃どんな状態であらわられるのか、月経周期やその日の出来事と関連性はあるのかなどを知ることでPMSの判断や対策に役立ちます。

特に、病院でPMSを診断するときは毎日の症状記録が必要となりますので、PMSの可能性がある場合は月経周期基礎体温などの記録を2、3カ月以上は続けるようにしましょう。

基礎体温は毎日同じ時間、朝目覚めたときに測ることがポイントです。そして、体を動かす前の安静な状態で測りましょう。朝起きたらすぐに体温を測定できるように、枕元に体温計を用意しておくと便利です。

症状記録を続けてPMSの時期が予測できるようになりましたら、イライラや下腹部痛などがあらわれそうな日は、心身に負担をかけないような予定に変更するなどして事前に対処しましょう。

専門家(産婦人科)に相談

専門家(産婦人科)に相談

PMSの症状がつらいときは産婦人科を受診しましょう。イライラや憂うつなど精神的症状だけでも、本人がつらいと感じるときはPMSの専門家に診てもらうことが一番です。内診や触診に抵抗感があるという方は、問診だけで薬を処方してくれる病院もありますので医者と相談してみましょう。

病院でPMSの診断をするときは月経周期2回分の症状記録が必要になります。症状記録をもとにPMSの診断や適切な治療法、生活習慣の指導などがおこなわれます。一般的にPMSの治療は産婦人科になりますが、うつ病の症状やPMDD(月経前不快気分障害)によって精神的症状が重い場合は精神科を紹介されることもあります。

病院で受診するメリットはPMSの診断や治療だけでなく、専門医に診てもらえる安心感や医学的な説明による知識の共有などがあります。PMSのつらさを独りで抱えるよりも、担当医や周囲の人々のサポートがあれば精神的な負担が軽くなります。PMSは女性特有の病気ですが、同じ女性でもPMSの経験や知識がないと理解されにくいことがあります。

病院で医学的な説明を受ければ身近な人々にPMSを理解してもらうことに役立ちますし、自分の状態を人に説明するときも適切に伝えられます。PMSは月経周期にともなう女性ホルモンなどの影響で発症する病気だと考えられていますので、心身の弱さとは関係ありません

PMSで悩まれている方は、軽い気持ちで産婦人科を受診してみましょう。

PMS(生理前・月経前症候群)のまとめ

PMS(生理前・月経前症候群)のまとめ

PMSは生理が近くなるとイライラや不安、下腹部痛や乳房の張りといった精神的・身体的症状があらわれる女性特有の病気です。PMSの症状には個人差があり、PMSが発症する時期も異なります。10代でPMSが発症するケースもありますが、PMSのピークは30代といわれています。

PMSの原因には女性ホルモンの変動や脳のホルモン・神経伝達物質の異常、ストレス、ビタミンB6の欠乏などさまざまな要因が考えられます。しかし、PMSは生理になると減退または消失する、無月経や閉経後、無排卵周期にはあらわれないという特徴から排卵性周期との関連が示唆されます。

そのため、病院でPMSの治療をするときは排卵を抑制する経口避妊薬・低用量ピルなどを用いる場合があります。また、頭痛や腰痛、手足のむくみ、冷え症、イライラ、気分の低下、情緒不安定といったさまざまな症状には漢方や抗うつ剤、鎮痛剤などを用いた対症療法がおこなわれることもあります。

PMSは病院で治療するだけでなく、自宅でセルフケアをおこなうことで症状がやわらぐケースもあります。規則正しい生活習慣や栄養バランスのよい食事、ストレス解消、症状日記などでPMSの対策をすることが可能です。

PMSを改善するためにはセルフケアと適切な治療が大切です。食事だけでは栄養が足りないときはサプリを利用したり、好きなことをしてストレスを発散させたり、PMSが起こりそうな時期は負担のない予定に変えたりして対処をしましょう。

また、プレフェミンや命の母ホワイトなどPMSのときに使える市販薬も売られていますので、購入者の口コミやレビューを参考に検討してみてはいかがでしょうか?このほかにも、PMSの情報を発信している協会やサイトを利用してPMSの知識を深めていくこともおすすめです。

PMSで悩まれている方は、自宅でできるセルフケアや改善方法、病院の治療などを組み合わせて生理前の不快な状態をスッキリさせましょう。

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